アッサラーム・アライクム(サウジアラビア語でこんにちは)Section1 リーダーのTです。
今回は、サウジアラビア初のアニメイベント“SAUDI ANIME EXPO”のお手伝いをさせて頂きました。
サウジアラビアという未知の国でお仕事をさせて頂き、様々な文化の違いを垣間見る事が出来ましたので
私が実際に行ってみて体験したサウジアラビアの文化と、メディアでも話題になった“SAUDI ANIME EXPO”の現地での熱狂を併せてご紹介したいと思います。
以前のブログでYさんがサウジアラビア出張について記載していますが、出張の目的は“SAUDI ANIME EXPO”の事前視察でした。
※詳しくはこちらのURLよりご参照ください。
さて、皆さんは、サウジアラビアがどんな国かご存知ですか?
サウジアラビアと聞いて、イスラム教、砂漠、産油国などをイメージする人は多いかと思います。
正直私は、一生行く事のない国だろうと思っていましたし、まさか仕事で行かせて頂けるなんて想像すら出来なかったです。
今回、サウジアラビアへ行く事になった私は、先に出張に行ったYさんから日本との違いを聞き、事前に調べておかないと何か粗相をしてしまうのではないかと思い、私なりに調べてみました。
調べてみると、日本では考えられないようなルールが存在していました。
例えば…
・娯楽の制限(映画館の設置の禁止、音楽コンサートの開催)※1
・飲酒禁止※2
・豚肉を食べる事は禁止※2
・左手は使用しない。(不浄の手)※2
・お祈りの時間があり、この時間は仕事中でも仕事場を離れることがある ※3
・女性はアバヤを着用(黒衣を纏い露出を控える)※4
・家族以外の男女が会話することは禁止※5
・写真を撮るときは注意しなくてはならない(女性を撮ってはいけないなど)※5
ほんの一部をご紹介しましたがいかがですか?
男女の会話が禁止なんて考えられないですよね?
因みにサウジアラビアの人たちの恋愛や結婚はほぼお見合いで決まるみたいです。
現代の日本ではあまり聞かないですよね。
ここでは敢えて紹介しませんが、他にも驚くルールが存在していました。
気になった方はご自身で調べてみてください。
(因みに※印は実際に目撃した詳細を後述しております)
何故、こんな厳しいルールを遵守しているかと言うと、サウジアラビアではイスラム教の厳格な解釈に基づく統治が行われている為です。人々はイスラム教を心から信仰されている事が分かりますね。
このような宗教上の理由で長年娯楽が制限されてきましたが、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子が主導する経済改革の一環で昨年解禁されたとの事です。
ムハンマド・ビン・サルマン皇太子はこの改革で、国内の若い世代から絶大な支持を誇っています。
因みに皇太子は日本のアニメの大ファンらしいですよ。
制限が緩和され映画館、コンサートなどが解禁となり、サウジアラビアの人たちは娯楽を謳歌しているようで、日本のアニメや漫画も凄く人気らしく、老若男女問わず楽しんでいるそうです。※1
そんな日本のアニメを公式にサウジアラビアの人たちに楽しんで頂こうというテーマの下、“SAUDI ANIME EXPO”はリヤド・シーズンというプロジェクトの一環で開催されました。
リヤド・シーズンは、経済の中心地である首都リヤド市内で展開されており、様々なテーマを持つ12のゾーンに沿って、世界トップレベルのエンターテインメントやアクティビティを地元の人々や観光客に味わってもらおうというサウジアラビア王国政府主催の初の公式イベントです。
我々は、本プロジェクトの立ち上げから携わり、サウジアラビア王国政府からのご要望を実現する為のプラン作成及びプレゼンを任せて頂き、王国政府からの承認を得て実施する運びとなりました。
制作では、展示ブースとゲームブースの2か所、今回はブースデザインだけでしたが、カフェとキヨスク(日本のお菓子や飲み物を売る売店)を我々が手掛けました。
内容をご紹介させて頂くと、展示ブースは立像やフィギュア、プラモデルの展示を見て頂き、ゲームブースはお客様にゲームを試遊して頂くコーナーとミニステージという内容です。
制作期間中は、マニュアル制作、台本制作などを行いつつ、各所との調整作業、強いては2泊5日の弾丸出張を敢行して、現地施工会社と打ち合わせを実施したりとハードスケジュールの中、事前作業を終わらせ、会期2週間前にサウジアラビア入りし、本番へ向けて最終調整に入りました。
サウジアラビアの労働開始時間は、大体15時頃からスタートします。何故かというと日中は暑い為、外にいられないからだそうです。真夏の時期だと40度以上になるとか。(私がいた11月は暑くても30度前後でした)
サウジ出張の回でYさんも言っていましたね、「郷に入っては郷に従う」と、我々も現地の労働時間に合わせて労働開始です。
会場の様子を見ていると日本の会場では見かけない光景を目のあたりにしました。
会場内でスタッフさんが食事をしている光景です。
一見すると日本でも見かける光景ですが、よく見てみると素手で食事を食べており、
右手を使っていました。
これは左手を宗教上不浄の手とされている為、食事は右手で食べるそうです。※2
握手も右手で行います、左手を差し出すと失礼にあたるのでご注意ください。
因みにサウジアラビアの伝統食は『カブサ』というお米とスパイスが効いた肉が載った料理で、パエリアのような見た目です。床に座り『カブサ』の載った大皿を皆で囲んで食べるのがサウジアラビアスタイルです。
同じ宗教上の理由で飲食店では豚肉料理やお酒の販売はされていませんでした。※2
ノンアルコールビールはありましたので、どうしても飲みたい方はノンアルコールビールで我慢してくださいね。
しばらくすると今度は現地のスタッフさんが仕事を中断しお祈りをしていました。※3
彼らは、1日に5回、決まった時間に聖地メッカの方角にお祈りをします。ショッピングモールや飲食店はお祈りの時間になると一時的に閉めるそうですよ。
信仰心の強い方たちだと感心しましたが、そのせいか作業ペースは日本よりも遅いと感じました。
大なり小なりのアクシデントに見舞われながらも、なんとか施工期間を終え、ようやく待ちに待った本番日となりました。
前売りチケットは即完売。当日チケットは長蛇の列。
男女比率は男性7割、女性3割位な感じでしょうか、
女性のお客様はアバヤを着た方が大半でしたが中にはコスプレしている女性もいました。※4
オープンすると続々とお客様が入場され、会場は熱気で最高潮です!
ステージでは、様々なコンテンツがあり、アニソンDJのパフォーマンス、アーティストのライブ、コスプレショーなどを展開しており、まるでフェス会場のように大盛り上がりでした。
我々が担当するブースも大盛況です。
フィギュアの撮影をしたり、映像を食い入るように見入っていたりと各々が楽しんでくださっているご様子。
また、一般のお客様以外にもテレビの撮影や政府関係者の方もブースをご覧になられていました。
お客様の中には、日本語で話しかけてくれる方がいて、
「アニメを見て日本語を勉強しました」
「来てくれてありがとう」
「日本が大好きです」
など、嬉しいお言葉を頂きました。
また、日本人が珍しいらしく我々と写真を撮りたいと話しかけられ、色々な方と写真を撮らせて頂きました。男性のお客様だけでなく、女性のお客様からもお声がけ頂いた事に驚き、戸惑いつつ完全に勘違いしてしまいました。※5
すいません(笑)
3日間に渡り開催された“SAUDI ANIME EXPO”は、約4万人の来場者が訪れ、大盛況のうちに閉幕しました。
今回の“SAUDI ANIME EXPO”では、様々なアクシデントに見舞われましたが、協力会社の方達の助けや我々ROCKの強みである現地スタッフとの円滑なコミュニケーションと臨機応変な対応力で成功を収める事が出来ました。
私が事前に調べた内容には事実もありましたが、以前よりも緩和されたルールがあると知り、今まで変わる事のなかった厳格なサウジアラビアの歴史的変化に立ち会えたと感じています。
最初は文化の違いに戸惑う事も多々ありましたが、人々は皆優しく、愛嬌がある良い人たちばかりで、
遠い異国の地で日本の文化がこんなにも受け入れられている事を知り、歓迎された事を大変光栄に思います。
違う文化であっても感動や楽しい事は万国共通ですね。
まだまだ、未知の国サウジアラビアですが、大好きな国となりました。
“SAUDI ANIME EXPO”に関わった全ての方々へ…
大変お世話になり、心から感謝申し上げます。
エピローグ
サウジアラビアでは、西からの風が強まると砂嵐がやって来ると言う。
痛いほどドライだった空気は徐々に湿りっけを増し、それまで何も無かった空は次第に巨大な雨雲の群れに包まれる。
やがてその砂嵐は、乾いたサウジの地に雨をもたらし、気温も一気に下がり始める。
滞在中も小規模ながら砂嵐が訪れ、数日後には、5ヶ月ぶりの雷雨となった。
人々は雨の到来に歓喜を上げ、季節の変わり目を歓迎した。
恵の雨と共に今回僕らが運んできた「アニメの種」がサウジの地に根を張り元気よく育ってくれればいい。
土砂降りの雨の中、ホテルの一室からそんなことを思いながら最終日の夜を過ごした。
以上、Section1リーダーのT 、エピローグは、by Section3のOでした。